
「駅近」「築浅」「オートロック」など賃貸住宅で人気の条件や設備は、必ずしも万人にとって価値があるとは限りません。そこでこの記事では、人気の条件や設備を見落としがちな注意点とともに紹介します。
賃貸住宅の人気条件
賃貸住宅で人気の条件の多くは、暮らしやすさや安心感につながるものです。一方で、ライフスタイルや価値観によっては、必ずしも優先すべき条件とは限りません。
〇駅近
賃貸住宅で常に人気な条件が「駅から近いこと」です。コロナ禍で一時的にテレワークが増えたものの、今では出勤回帰が進んでおり、共働き世帯も増えているため、利便性の高い駅近物件の人気は落ちるどころか高まっています。
【注意点】
駅周辺は人通りや車の往来が多く、騒音や治安が気になる場合があります。また、賃料も高めに設定されているため、広さや築年数に妥協が必要になることもあります。
〇2階以上の住戸
立地にもよりますが、1階の住戸は騒音や防犯上の懸念があることから、2階以上の住戸を希望する方が多い傾向にあります。また、日照や通風も2階以上のほうが確保しやすく、外部からの視線が入りにくい点も安心材料といえるでしょう。
【注意点】
1階の住戸は家賃が割安なことも多く、災害発生時にすぐ避難できるなどの利点もあるため、一概に2階以上の住戸のほうが魅力が高いとはいえません。また、上層階ほど夏場の熱がこもりやすく、階段・エレベーター利用の負担が増えるなどのデメリットも存在します。
〇角部屋
角部屋は隣接する住戸数が少ないため、生活音のストレスが軽減されやすい点から人気があります。窓が2方向以上にある間取りも多く、日当たりや風通しが良いことも魅力です。
【注意点】
角住戸は外壁面が多い分、外気の影響を受けやすく、冷暖房効率が下がることや賃料が高めに設定される点はデメリットといえるでしょう。
〇南向き
日当たりの良い南向き住戸は一年を通じて明るい光が入りやすく、洗濯物も乾きやすいため人気があります。冬でも室内が比較的暖かく、冬場の光熱費の削減も期待できます。
【注意点】
冬の暖かさは南向きの住戸のメリットですが、夏は直射日光で室温が上がりやすく、夏場の電気代がかさむ可能性があります。とくに近年は夏の暑さが厳しいため、北向き住戸の人気も高まっています。
〇築浅
築5年程度までの築浅物件も人気があります。新しい設備、きれいな内装、高い断熱性能など、快適性や安心感につながる条件が揃っていることが大きな理由です。築古物件と比べて共用部もきれいな状態が保たれているため、入居後の満足度が高くなる傾向にあります。
【注意点】
新築・築浅物件は賃料が高めに設定されることが多く、同程度の賃料であれば、築古のほうが広さや立地条件の優位性が高い傾向にあります。また物件によるものの、耐震・断熱などの性能や住宅設備については、築20年程度の物件であれば築浅物件と遜色ありません。もちろん使用感や経年劣化が目立つことはありますが、2000年に施行された品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)以降の物件は総じて一定の品質が担保されています。
賃貸住宅の人気設備ランキング
暮らしの満足度は、立地や住戸の位置だけでなく、住宅に備わっている設備にも左右されます。ここでは、全国賃貸住宅新聞社で毎年発表される賃貸住宅の人気設備ランキングの中から「単身者向け」の2024年度人気設備TOP5をご紹介します。
1位:インターネット無料
スマートフォンや動画配信サービスの利用が一般的になり、近年は自宅で仕事をする人も多いこともあって、長らく「インターネット無料」が人気設備1位となっています。自身で導入するとなると、回線工事の予約や手配などの手間がかかり、さらに毎月数千円の費用がかかるため、入居当初からインターネットが無料で利用できるメリットは大きいといえるでしょう。
【注意点】
すぐにインターネットが使えて、初期費用やランニングコストがかからない点は大きなメリットですが、物件によっては回線速度に差があるため、あらかじめ導入されている回線や最大速度を確認しておくと安心です。
2位:宅配ボックス
不在時でも荷物を受け取れる宅配ボックスは、単身者に限らず人気が高い設備です。再配達の手間を省けるほか、荷物を直接受け取らずに済むため、防犯面でも安心感が得られます。
【注意点】
物件によってはボックスの数が限られており、荷物が多い時間帯は空きがないこともあります。内見時に、利用状況やサイズ、数を確認しておくと安心です。
3位:エントランスのオートロック
来訪者を建物入口で制限できるオートロックは、防犯性の高さから人気の設備です。女性の単身者にとくに人気があります。
【注意点】
オートロックがあっても、住人の後を付いて侵入する「テールゲート」のリスクはゼロではありません。近年は、住居侵入窃盗が増加傾向にあります。オートロック付きだからといって過信するのではなく、管理状態や物件の立地などを含めた総合的な観点で防犯性を見極めることが大切です。
4位:高速インターネット
集合住宅で固定回線のインターネットを使用するには、まず共用部の回線の導入が済んでおり、なおかつ各部屋まで回線を引き込む必要があります。共用部に導入された回線次第で利用できる使用速度や安定性に差が出るため、近年は「高速インターネット対応」物件の人気も高まっています。
【注意点】
賃貸住宅のインターネット利用環境の表記には「無料」「利用可能」「接続可」など、さまざまな単語が使われます。「無料」という表記がなければ多くの場合、単に「対応している」に過ぎず、別途、工事費や利用料がかかります。
5位:浴室換気乾燥機
浴室換気乾燥機は、雨の日でも洗濯物を乾かせる便利な設備として人気があります。浴室の湿気がこもりにくいため、カビの発生を抑えやすい点も魅力で、単身者だけでなくファミリー層にも支持されています。
【注意点】
浴室乾燥機は便利な反面、乾燥モードを頻繁に使用すると光熱費が高くなります。また、効果を維持するにはフィルターの掃除など定期的な手入れも必要です。物件によってガス式か電気式かも異なるため、ランニングコストやメンテナンス方法も確認しておくと安心です。
賃貸住宅の希望条件はどう決める?
賃貸住宅を探す際は、自分の暮らしに合った"選び方の軸"を持つことが大切です。
無理なく払っていける予算を決める
賃貸住宅を探すうえでまず考えたいのが、無理のない支払額です。一般的に適正な賃料の目安は月 の25〜30%程度と言われていますが、実際には生活スタイルや将来設計などによって異なります。
とくに近年はインフレでさまざまなモノの値段が上がっているため、転居を機に一度、家賃のほかにかかっている固定費や支出を見直してみましょう。
希望条件に優先順位をつける
立地や広さ、間取り、築年数など、さまざまな希望があると思いますが、予算内ですべてを満たす物件に出会えるとは限りません。そのため「絶対に譲れない条件」と「あれば望ましい条件」とを整理し、優先順位をつけて探すことで、選択に迷いにくくなります。
予算内で希望する物件が見つからない場合の対策
近年は賃料が上昇傾向にあるため、予算内で希望する条件の物件が見つからないことも少なくありません。しかし、今後も光熱費や食費、保険料などあらゆるモノの値段が上がっていく可能性があるため、無理して予算を上げることはおすすめしません。
次のように条件を少し緩和するだけでも、選択肢はぐっと広がります。
- 一駅ずらす
- 駅からの距離を広げて探す
- 築古物件も選択肢に入れてみる
- 物件種別を変えて探してみる(マンション→アパート・戸建て→マンションなど)
また、賃貸住宅ではなく購入したほうが、月々の負担を抑えつつ希望通りの物件が見つかりやすいこともあります。
まとめ
賃貸住宅で人気の条件や設備はどれも魅力的ですが、自分には必要なかったり、メリットの裏にリスクが潜んでいる可能性もあります。人気だから選ぶのではなく、優先順位を整理し、注意点も踏まえて検討することが、後悔のない住まい選びにつながります。
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